医師 宮沢あゆみのコラム「敵を知り、己を知ろう!」
中国の兵法書である「孫子・謀攻編」のなかに、「彼を知り己を知れば百戦殆(あや)うからず」という格言がある。
「敵の情勢を把握し、自分自身をわきまえて戦えば、何度戦っても敗れることはない」という意味だ。軍学書の心構えが、「敵を知ること」とともに、「己を知ること」であったことは、処世術としても大いに参考すべき指南である。
個人差が大きく、症状の現れ方もひとりひとり異なる月経前症候群(PMS)を見極めるには、まず、自分自身の心身の状態を観察することから始めよう。
「どうも月経前に不調になるようだ」と気がついたら、まず基礎体温をつけてみよう。朝、目覚めたら体を動かさずに、舌の下に婦人体温計を入れて体温を測るのだ。基礎体温表の下に、だるい、むくむ、頭痛がするなど、その日の体調を細かく記録しておくといいだろう。
月経前の1週間から2週間前に不調が始まり、月経が始まると症状が落ちるくようなら、まず、月経前症候群(PMS)だと考えてよいだろう。
敵の正体がPMSらしいとわかったら、再び自分自身を見つめてみよう。
つらいのは精神的症状か、身体的症状か、両方なのか。身体的症状のなかでは腹痛、腰痛、頭痛といった痛みがつらいのか、便秘、むくみ、肌荒れなど美容面が気になるのかを冷静に観察してみよう。
そして、婦人科を受診する際は、こうした内容を記入した基礎体温表を持参すれば、診察がスムーズに進むこと請け合いである。