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医師「宮沢あゆみ」による病気の話。「PMSを悪化させる要因」

医師 宮沢あゆみのコラム「PMSを悪化させる要因」

月経前症候群(PMS)の現われ方には個人差があり、様々な要因を複合的にとらえて対処方法を考える必要がある。
日常生活のなかでPMSの症状を悪化させる要因を整理してみよう。

 
1.ストレス  
月経前には心の落ち着きや安定感をもたらす脳内ホルモン(神経伝達物質)であるセロトニンの分泌が減少するため、イライラしたり落ち込みやすくなる。

こうした状態の時に、家庭内でいざこざがあったり、仕事上のトラブルを抱えたり、人間関係のストレスが加わったりすると、イライラや落ち込みに拍車がかかる。月経前は仕事を溜め込みすぎず、上手に気分転換をして、心身ともにリラックスした状態を保つようにしよう。

また、月経前には、循環、内分泌、代謝といった自分の意思ではコントロールできない機能を制御する自律神経のバランスが乱れやすい。心身を緊張状態にする交感神経が優位となって、心身をリラックスさせる副交感神経の働きが弱まるのである。

月経前はなるべくリラックスした状態に身を置き、副交感神経が優位に働くようにしよう。整体やマッサージなどを受けて、心身の緊張をほぐすのもお勧めだ。

 
2.煙草 
喫煙は血の巡りを悪くする。全身に行き渡る血液が減少すると身体が冷えやすくなる。自律神経のバランスも乱れて交感神経が優位になり、PMSを悪化させる要因となる。そもそも煙草は「百害あって一利なし」の嗜好品だ。禁煙が最良の策である。

 
3.アルコール
月経前には膵臓のランゲルハンス島β細胞から分泌されるインスリンの効果が弱まる。インスリンは血糖値を下げるホルモンで、膵臓は上昇しやすくなった血糖値を下げようと、いつもより多量のインシュリンを分泌するため、結果として低血糖状態になる。

飲酒をすると、体内に入ったアルコールは肝臓に運ばれ、アルコール脱水素酵素の働きでアセトアルデヒドという物質に分解される。アセトアルデヒドはアセトアルデヒド脱水素酵素の働きで酢酸となり、最終的に炭酸ガスと水に分解されて体外に排出される。

肝臓はグリコーゲンという物質を分解してブドウ糖を作り出しているが、この一連の作業のためにブドウ糖が消費される。このため、月経前に過度の飲酒をすると低血糖状態に拍車がかかり、PMSの症状が悪化することがある。飲酒はほどほどにしよう。

 
4.カフェイン  
コーヒー、紅茶、チョコレートなどに含まれるカフェインの過剰摂取は神経を刺激し、イライラや緊張感を高める原因となる。

排卵後から月経前にかけて分泌が増える女性ホルモンであるプロゲステロン(黄体ホルモン)には水分貯留作用がある。このため月経前は身体に水分を貯め込みやすく、顔や手足がむくんだり、お腹が張ったり、乳房が痛くなったりする。頭に水分が貯まれば頭痛がおこる。

何らかの原因で脳の血管が急激に拡張し、周囲の神経を刺激して痛むのが「偏頭痛」だが、カフェインには血管を収縮させる作用があるため、適量のカフェイン摂取は偏頭痛を和らげる効果がある。しかし、頭の周辺の筋肉が緊張して血流が悪くなることでおこる「緊張型頭痛」は、逆にカフェの過剰摂取によって悪化するので注意しよう。

カフェインには覚醒作用や利尿作用があるので、眠気やむくみに悩まされている場合には有用なこともあるが、神経を過敏にして安眠を妨げるため、睡眠前の摂取は避けた方が無難である。
 

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