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医師「宮沢あゆみ」による病気の話。「PMSの対処方法」

医師 宮沢あゆみのコラム「PMSの対処方法」

月経前症候群(PMS)の現われ方は人によってかなり個人差がある。本人の性格、職場環境、家族関係、生活習慣などが症状の現われ方と深く関係しているからだ。
このため、自分自身がおかれた環境を改善し、生活習慣や食生活などを見直すことによって症状が改善することも多い。
以下に、自分でもできるPMSの対処方法を考えてみよう。

 
1.職場環境の改善
臨床の現場で最も訴えが多いのは、何といっても職場の人間関係のストレスである。“社会的動物”である人間は、人間関係のストレスから逃れることはできないが、ストレスを軽減させることは可能だ。

私がお勧めしているのは、ストレスを書き出してみる「ストレス・レコーディング」である。例えば上司とそりが合わない場合、上司のどこが気に入らないのかを具体的に列挙してみる。そして、それを改善してもらうためにどのように動けが良いかを考える。本人に働きかけるのが難しければ、その人と同等以上の立場にある別の上司に相談してみるといいだろう。それも難しければ配置願いを出してみよう。

自分のやりたい仕事ができず悶々としているなら、与えられた仕事はしっかりこなしながら異動願いを出してみよう。それでも事態が打開できないなら、キャリアアップのために実力を蓄えて転職するのも一法だ。

 
2.家族関係の改善
会社と違って家族から逃れることは困難だが、距離を置くことはできる。そりが合わない家族と無理して一緒に暮らす必要はない。

経済的事情により別居が叶わない場合には、資格をとるなど自立できる方策を考えよう。ハローワークでは無料で資格が取れる職業訓練校の紹介もしている。

親の介護問題などが絡む場合は少々厄介だが、一人で背負いこむ必要はない。地域のケアマネージャーやソーシャルワーカーなどに積極的に助けを求めてみよう。

 
3.バランスの良い食事
月経前には空腹感が増して、甘いものがむしょうに食べたくなる。甘いものを食べると体内の血糖値が急速に上がり、膵臓から血糖値を下げるホルモンであるインシュリンが多量に分泌されて、今度は急速に血糖値が下がる。低血糖は倦怠感や憂うつ感をもたらすので、甘いものを過剰に摂取するのは避けよう。

一方、カフェインは神経を刺激し、イライラや緊張感を高めたり、下腹痛や乳房痛の原因にもなるので、コーヒー、紅茶、チョコレートなどの摂取も控え目にしよう。

また、排卵後に卵巣から分泌が増えるプロゲステロン(黄体ホルモン)には水分貯留作用があるため、月経前には身体がむくみやすくなる。塩分は体内に水分を貯めこむ働きがあるので、濃い味付けやインスタント食品などは控えよう。

一方、緑黄色野菜に含まれるミネラル、マグネシウム、カルシウムなどには神経を落ち着かせる働きがある。豚肉、大豆、いわし、かつおなどに含まれるビタミンB6には女性ホルモンのバランスを整える働きがある。

ナッツ類、ほうれん草、カボチャなどに含まれるビタミンEも血行を促進し、女性ホルモンの分泌を調整する働きがある。月経前には野菜を積極的に食べて、バランスの良い食事をとるように心がけよう。

 
4.リラックス法をみつける
PMSにストレスは大敵である。スポーツはストレス発散になるので是非お勧めしたい。ランニング、エアロビクス、水泳などの有酸素運動は基礎代謝を向上させ、ダイエットにもつながるので一石二鳥だ。スポーツが苦手な人は、ダンス、ヨガ、ストレッチなど興味が持てるものから始めてみよう。 

一日の疲れを癒すには、半身浴やアロマテラピーなどもお勧めだ。月経前の腹痛や腰痛は、患部を暖めることで改善する。ぬるめのお湯にゆっくりと浸かろう。入浴で血の巡りが良くなると、肩や腰の筋肉のこりもほぐれる。足がむくみやすい人は、湯船で足先から心臓に向かって軽く揉むようにマッサージをしてみるといいだろう。

アロマテラピーとは“芳香療法”のことで、芳香植物から抽出された精油であるアロマオイルを用いたリラックス法である。イライラしている時にはリラックス効果や鎮静効果のあるラベンダー、シーウッド、サイプレス、サンダルウッドなどが効果的だ。

むくみがある時にはサイプレス、ジュニパーベリー、肩こりや頭痛がある時にはラベンダー、ローズマリーなどのアロマオイルをお湯に数滴たらして、香りを楽しみながら浸かってみよう。甘味な香りが嗅覚を刺激し、その刺激が脳を通して体全体に行き渡り、心身がリラックスするはずだ。
 

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