あゆみクリニック 女医 宮沢あゆみ 女性外来 婦人科 千代田区 完全予約制

医師「宮沢あゆみ」による病気の話。「女性ホルモンの乱れ」

医師 宮沢あゆみのコラム「女性ホルモンの乱れ」

女性の体は、卵巣から分泌される二種類の女性ホルモン、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)によって支配されている。

このうち、更年期の症状と深い関係があるのはエストロゲンである。エストロゲンの分泌量は20~30歳代をピークに減り続け、50歳ではピーク時の5分の1程度になる。

この時期、エストロゲンの分泌が一気に低下してしまうことから、さまざまな体の不調が現われるのである。これをエストロゲン欠落症状という。

このメカニズムをもう少し詳しく説明しよう。

卵巣の働きを支配しているのは、脳の中にある下垂体という場所である。卵巣から分泌される女性ホルモンが少なくなると、脳下垂体は卵巣へ向けて、「ホルモンを分泌せよ!」という指令を出す。

これが卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体化ホルモン(LH)で、あわせて性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)という。

さらに、この下垂体の働きを支配している最高司令室が脳の視床下部という場所である。視床下部からは下垂体に向けて性腺刺激ホルモン放出ホルモン(Gn-RH)が分泌され、下垂体の働きをコントロールしている。

つまり、視床下部→下垂体→卵巣という指令体系が、常に卵巣の働きをしっかり見張っているというしくみである。

更年期に卵巣から分泌されるエストロゲンが低下すると、視床下部から指令を受けた下垂体が性腺刺激ホルモンを分泌して、「しっかり働け!」と卵巣に司令を送る。

ところが、肝心の卵巣は機能が低下しているために司令に反応せず、エストロゲンは減少し続ける。

このため、下垂体からはさらに多量のホルモンが分泌される。あたかも勉強する気のない子供を躍起になって叱りつける母親のように、この働きかけは空回りし、脳から分泌されるホルモンだけが過剰になっている、この不安定な状態が更年期なのである。

つまり、更年期とは、卵巣が分泌するホルモンと脳から分泌される指令ホルモンの均衡が崩れて、体がバランスを失った状態だということができる。

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