医師 宮沢あゆみのコラム「自律神経の失調」
脳の視床下部には下垂体を経由して卵巣へエストロゲン分泌の指令を送る最高指令室がある。
ここには呼吸、循環、血圧、体温調節、内分泌、代謝といった自分の意思ではコントロールできない機能を制御する自律神経の最高指令室(支配中枢という)も存在している。
更年期には、視床下部にあるエストロゲン分泌に関わる支配中枢の機能が乱れる余波を受けて、同じ視床下部に支配中枢をもつ自律神経にも乱れが生じて、発汗、のぼせ、冷え、耳鳴り、めまい、立ちくらみ、動悸といった、いわゆる自律神経の失調症状が出現するのである。
つまり、更年期に出現する多彩な不快症状は、エストロゲンの低下だけではなく、脳内ホルモンのバランスの乱れや、自律神経の失調など、様々な要因が重なり合っておきているのである。
しかしながら心配は無用だ。人間の体は順応性に富んでいて、健康を維持するために体内環境を一定に保とうとする働きがある。これをホメオスタシス(恒常性の維持)という。
閉経後、数年経って、体がバランスを欠いた状態に慣れてくれば、更年期特有の不快な症状は次第におさまってくる。
ご安心あれ。出口のないトンネルはないのである。
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