医師 宮沢あゆみのコラム「メタボリックシンドローム」
メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪型の肥満に、高血圧、脂質異常症、高血糖のうち2つ以上を合併した状態をいう。日本語に訳すと「代謝症候群」だが、今や「メタボ」で十分に市民権を得ている感がある。
ここで、日本肥満学会によるメタボリックシンドロームの診断基準をおさらいしておこう。
1. 内臓脂肪の蓄積 ウエスト周囲径 男性85cm以上、女性90cm以上
内臓脂肪面積にして、男女とも100cm以上に相当
2. 高血圧 収縮期血圧 130mmHg以上 かつ/または
拡張期血圧 80mmHg以上
3. 脂質異常症 中性脂肪150mg/dl以上 かつ/または
HDL(善玉コレステロール) 40mg/dl未満
4. 高血糖 空腹時血糖 110mg/dl以上
厚生労働省は日本人の中年男性の2人に1人、中年女性の5人に1人がメタボリックシンドロームまたはその予備群と考えており、該当者の総数は約2000万人と推定している。
メタボリックシンドロームである人は、そうでない人と比べて心筋梗塞、脳梗塞といった心臓血管系の疾患に1.8倍かかりやすいという報告もある。
女性が更年期に差しかかると、こうした疾患にかかるリスクが増すのは、メタボの3大要素である血圧、脂質、血糖のすべてを微妙に調整していたエストロゲンという強力な後ろ盾を失うからなのである。
エストロゲンがいかに女性の健康を守っているか、おわかりいただけたのではないだろうか。
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