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医師「宮沢あゆみ」による病気の話。「糖尿病とエストロゲン」

医師 宮沢あゆみのコラム「糖尿病とエストロゲン」

女性ホルモンであるエストロゲンは、血圧やコレステロールの調整をするだけでなく、血糖値の上昇を抑える働きもしている。

食後に血糖値が上昇すると、膵臓のランゲルハンス島β細胞からインスリンが分泌される。インスリンは血糖値を下げるホルモンだが、エストロゲンにはインスリンの効能を高める働き(インスリン感受性という)があるのだ。

このため、更年期に入ってエストロゲンの分泌が減少すると、インスリンが効きづらくなり(インスリン抵抗性という)、血糖値が上昇して、糖尿病のリスクが高まるのである。

しかも、エストロゲンには「内臓脂肪」を代謝させて、つきづらくする働きがある。中年に差しかかると男女を問わず代謝が落ちるため、脂肪を蓄積しやすくなるが、エストロゲンの分泌が減少する更年期以降の女性は、特に「内臓脂肪」がつきやすくなるのだ。

脂肪には「内臓脂肪」と「皮下脂肪」があるのをご存知だろうか?

「内臓脂肪」とは腹筋の内側につく脂肪のことである。内臓の周囲につくため、体表からは摑むことができない。筋肉の占める割合が高い男性につきやすいが、筋肉が内臓脂肪をエネルギーとして利用するため、運動によって落としやすい。

これに対して「皮下脂肪」とは、皮膚の下につく脂肪のことである。俗にお腹をつまんでブヨブヨなどと表現される脂肪はこちらであり、体表から摑むことができる。エネルギーの貯蔵や保温のために溜めこまれやすく、女性につきやすい。

皮下脂肪は分解されにくいので落としづらく、腹部や臀部、大腿部につくと、お腹がポッコリしたり、お尻がムッチリしたり、太ももがデップリしたりするのである。

閉経前の女性は、エストロゲンの作用で「内臓脂肪」より「皮下脂肪」の方がつきやすい傾向にある。しかし、エストロゲンという守護神を失う更年期以降になると、皮下脂肪より内臓脂肪の方がつきやすくなる。

インスリン抵抗性は、内臓脂肪の量に比例し筋肉量に反比例するため、肥満かつ筋肉量の少ない女性ほど血糖値が上昇しやすくなるというわけだ。

しかしながら、先に述べたとおり、「内臓脂肪」は「皮下脂肪」よりも運動によって落としやすいという特徴がある。更年期に差しかかったら、日常生活のなかに適度な運動を取り入れて、余分な内臓脂肪を燃やしていこう。

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