医師 宮沢あゆみのコラム「骨粗鬆症・メカニズム編」
超高齢化社会の到来により、更年期以降の女性の生活の質(Quality of Life=QOL)を左右する疾患として挙げなければならないのが骨粗鬆症だ。
骨の丈夫さを示すものに「骨密度」があるが、骨密度が減少して骨がもろくなり、骨折しやすくなる疾患が骨粗鬆症である。
卵巣から分泌される女性ホルモンであるエストロゲンは、骨の健康を維持する重要な役割を担っている。このためエストロゲンが減少する更年期以降の女性は、男性と比べて骨粗鬆症になりやすい。
若い女性でも過激なダイエットやストレスなどで卵巣の機能が低下し、エストロゲンの分泌量が減ると、骨密度が減少して骨折しやすくなるので注意が必要だ。
骨というと変化しないイメージがあるが、骨は、古い骨を破壊する「破骨細胞」と新しい骨を作る「骨芽細胞」とが絶えず新陳代謝を繰り返している。つまり、骨を破壊する「吸収期」と再生する「形成期」を繰り返して、定期的に新しい骨に生まれ変わっているのである。
エストロゲンには、骨の吸収を抑えて形成を促す作用がある。さらに、甲状腺から分泌されるカルシトニンというホルモンの分泌を促して、骨の主要な成分であるカルシウムを骨に取り込む働きを助けている。
このため、更年期以降にエストロゲンの分泌が低下すると、骨からカルシウムがどんどん抜けて、スカスカの状態となってしまうのである。
一般的に骨密度は30代をピークとして、年齢と共に低下するが、女性は閉経を境に急激に減少してしまう。このため、骨粗鬆症は閉経後の女性の生活の質(QOL)を左右する深刻な問題となっている。
骨密度の計測は、二重エネルギーX線吸収法(DXA法)や超音波などで簡単にできる。整形外科などで検査してもらえるので、更年期と呼ばれる年齢になったら調べてみるといいだろう。