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医師「宮沢あゆみ」による病気の話。「原因は何か?」

医師 宮沢あゆみのコラム「原因は何か?」

1. 機能性月経困難症

痛みの原因となる疾患が存在しないのが「機能性月経困難症」である。

月経時には子宮が収縮して月経血を押し出そうとする。
陣痛が「産みの苦しみ」といわれるように、子宮の収縮は下腹部に激しい痛みをもたらすのである。

子宮の収縮には、月経前から月経中にかけて子宮内膜のなかで分泌されるプロスタグランディンという生理活性物質が関与している。

プロスタグランディンは子宮の平滑筋を収縮させる作用をもっている。月経時には子宮収縮を促し、経血を体外に排出する機能を担っているため、過剰に分泌されると子宮の過収縮を招いて痛みの原因となるのである。月経痛を訴える人は月経痛のない人よりもプロスタグランディンの濃度が高いという報告もある。
プロスタグランディンは胃腸の蠕動運動も亢進させるため、過剰に分泌されれば吐き気、腹痛、下痢などを引きおこす原因ともなる。

また、月経前は子宮内膜が増殖し、血管も膨隆するため、これが鬱血(うっけつ)をおこして痛みの原因となることもある。

その他、ストレス、疲労、過度の緊張にさらされる生活を続けていると、女性ホルモンのバランスが崩れて月経痛が重くなる場合がある。
月経そのものがストレスになった場合には、「また、あの痛みがやってくる」と思っただけで憂鬱になり、精神症状が悪化することもある。

月経時に子宮が収縮する痛みは、子宮の発育が未熟で、子宮頸管(子宮の出口)が狭く月経血がスムーズに排出されない人ほど激しい傾向にある。

このため、機能性月経困難症は初潮から20代前半までの若年者に多くみられ、原発性に発症することが多い。出産によって子宮口が広がり、月経血がスムーズに排出されるようになると、次第に痛みも和らいでいく。

 
2. 器質性月経困難症

痛みの原因となる疾患が存在するのが「器質性月経困難症」である。

器質性月経困難症は子宮筋腫や子宮内膜症などが痛みの原因となるため、これらの疾患に見舞われる30代や40代の女性に多くみられ、続発性に発症することが多い。年月を経るにつれ、痛みが重症化する傾向にある。

性感染症によって子宮や卵管が炎症をおこしたり、骨盤内炎症などによって臓器が癒着しても、月経痛が重くなることがある。
 

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