あゆみクリニック 女医 宮沢あゆみ 女性外来 婦人科 千代田区 完全予約制

医師「宮沢あゆみ」による病気の話。「再発に要注意 <性器ヘルペス>」

医師 宮沢あゆみのコラム「再発に要注意 <性器ヘルペス>」

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<症例4>
結婚して3年目。28歳の人妻が外陰部の痛みを訴えて受診した。

「1週間前から外陰部にポツポツと水疱ができて、触っていたら数が増えてきたんで心配で・・。排尿時にしみて痛くて、今では座るのもつらいんです」

診察すると、外陰部に多数の水疱を認め、その半分以上は潰れてジクジクした潰瘍になっている。性器ヘルペスだ。

「これは、性器ヘルペスといって、性交渉によって単純ヘルペスウイルスにかかることによって発症する性感染症です」
「ヘスペスって、あの唇にできたりするヤツですか?」
「ヘルペスには2つの型があるのです。口唇にできるのは1型ヘルペスで、性器にできるのは2型ヘルペスです。最近はオーラルセックスの影響で、1型と2型の境界が曖昧になってきていますが・・・」

「それはどういう意味ですか?」
「唇にヘルペスができている人がオーラルセックスをすると、Ⅰ型ヘルペスが性器にうつってしまうからです。いずれにせよ、性器ヘルペスは性的な接触によって感染します。何か心当たりはありますか?」

「実は、2週間ほど前に元カレと再会して関係をもってしまったんです。街でバッタリ出会って、久しぶりにお酒を飲んだ勢いで、その夜のうちに・・・」
「結婚して、旦那さんがいるのに?」
「(消え入りそうな声で)ハイ」

「ヘルペスは塗り薬もありますが、あなたの場合は数が多く、範囲も広いので、今回は飲み薬を処方します。きちんと服用して治していきましょう。そして、症状が消えるまで、性交渉は絶対に避けてくださいね」

「夫がいるんですが・・・」
「何とか理由をつけて、治るまで性交渉はしないでください。そうでないと旦那さんにうつしてしまいます。旦那さんとは性交渉はしていらっしゃらないでしょうね?」

「いえ、あの・・元カレと関係をもった直後に、夫とも交渉をもちました。今週も何回か・・・」
「エッ、水疱ができているのに旦那さんと関係をもったのですか?」
「(消え入りそうな声で)ハイ」
「困りましたね。旦那さんにうつしてしまった可能性がありますので、正直に打ち明けて、すぐに泌尿器科を受診するように言ってください」

「そんなこと言えません。男性にはどのような症状が出るのですか?」
「男性もペニスに水疱が多発して、放置すると潰れて潰瘍となり、痛むようになります。旦那さんの性器に水疱は見当たりませんでしたか?」
「よく見ていませんが、なかったと思います」

「ウイルスには潜伏期間がありますので、今は症状が出なくても、いずれ発症してきます。男性は自分の目で性器の異常を確認することができますので、隠しておくことはできません。不貞行為を疑われる前に正直に打ち明けて謝っておいた方がいいですよ」
「絶対に嫌です。私の立場が悪くなるじゃないですか」
「・・・・・・・・」

「夫に知られずに、自分だけ治すことはできないのですか?」
「あなただけ治療しても、旦那さんが発症すれば、性交渉で旦那さんから戻ってくるので、いつまでたっても治らないのですよ。今後は夫婦でお互いに注意して、相手の性器に症状が現れた場合には性交渉はしないことです」

「ああ、何て面倒な病気にかかってしまったのかしら・・・」
「だから無防備な性交渉はしてはいけないのです。性感染症は自分1人の問題ではなく、パートナーをも巻き込むのですから」

(少し考えて)私は、夫にうつされたんだと文句を言うことにします」
「えっ、旦那さんに責任転嫁するのは筋違いでしょう」
「夫だって、外で遊んでいるんですよ。私だけが責められる筋合いじゃないわっ」
こう言って、彼女はヘルペスの治療薬を受け取り帰って行った。

 
1週間後に彼女は再度、来院した。

「外陰部がだいぶきれいになりましたね。潰瘍の跡も目立たなくなってきましたので、もう一息です」
「ありがとうございます」

「ところで、旦那さんには正直に打ち明けましたか?」
「夫には、『私はまったく身に覚えがないけれど、病院で性器ヘルペスにかかっていると言われたので、当分、性交渉はできないよ』と言いました。婦人科の先生には『旦那さんにうつされた可能性が高い』と言われたけど、あなた、心当たりがあるんじゃない』と強く出てみました」
「?!」

「そしたら、彼、突然、ひざまづいて私に謝ってきたのよ。先日、魔がさして元カノと関係を持った、すまない、ですって。ホントに単純な人で良かった!」
「・・・・・・・・」

 
性器ヘルペスは表面上は治ったように見えても、からだの神経節という場所に潜伏感染していて、体力や抵抗力が落ちた時に再活性化して、何度でも皮膚や粘膜に出現してくる。このため、いちど罹患すると、一生のお付き合いとなる。

最初は外陰部の片側に限局した小さな水疱ができるだけだが、放置しておくと数が増えて両側に広がっていき、やがて水疱がつぶれて潰瘍となる。痛みを訴えて、発熱することもある。

ウイルス性の疾患が厄介なのは、何度でも再発することである。
再発前には、局所にムズムズするような違和感や神経痛のような疼痛を覚えることがあるため、ベテラン(?)になると「予兆で再発がわかる」という人もいる。

性器ヘルペスにかかったら、自分の外陰部に水疱が発症していないかを、常にチェックする習慣をつけよう。

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